暗闇の果てに
孤児………らしい少女に服の裾を引っ張られる。

アースは立ち止まって、少女を見下ろす。

少女は立ち止まったアースに笑顔を向け、両手を差し出してきた。


ものごいを、しているのだ。こんなに幼い子が。




何かしたくても、自分には何もできない。


何とかしたくても、力が足りない。





政治家が、どんなに頑張ってもこういう人はいる。

人は醜い故に、こういう犠牲者を出してしまうのだ。

これは、きっと誰のせいでもない………




父上も、天王も他の大臣たちも、決して圧政をしている訳ではない。



ただ、人は小さな存在であるがために、彼らの目は行き届かないのだ。



さらに、国の役人や大商人などには人の心を持たぬ者もいるのだ。





手が届かない、仕方がない、誰かが幸せであると、誰かが不幸だ、皆がそう言う。


アースだって、わかっている。
その言い分は間違ってはいない、父上たちは、悪くない…………





だけど、民の中で裕福な人と、そうでない人が出てくるのはおかしい。


言い分も政治も間違ってはいないんだ、だけど合ってもいない。


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