ベル姫様と溺愛ナイト様

「只今、ジェミロ」

「おぅ！　お帰りメロゥ」

背後から声をかけられ、ジェミロは振り返って笑顔で返事をした。

メロゥにもレイにも、裏口の鍵を渡してある。
住民なのだ。
店の表からではなく、裏から入るように、と急遽合鍵を作ったのだ。

「……ジェミロ、坊主をウエイターに、どころか、兵士も雇ったのか？」

体格が良く、腰に剣を携えた男の登場に、常連の男は一瞬たじろいだ。

え？　と首を傾げて、それから笑うジェミロとメロゥ。

「ははっ！　ベルとレイの仲間で、わたしの新しい家族みたいなもんだ。
一緒に暮らし始めたんだ」

「こんばんは、初めまして。
以後、お見知りおきを」

「あ、おお！　って、はい？」

男は何がどうなっているのか分からないながらも、取り敢えず返事をした。