ベル姫様と溺愛ナイト様
「そうなのか……?」

「ああ。常連だし、大丈夫。
少し寝ちまうだけで、害はないやつなんだ」

でも、と言いたげなレイに、ジェミロは何でもないように言い切った。
男が二人の会話に口を挟んだ。

「坊主、あの寝てるヤツな、この辺ではちょっと名の知れた物書きの先生なんだぜ。
酒強くないくせに、ああやって通っては酒入れて呑んでんだ。

どうしてだと思う?」

ニヤニヤと笑う男に首を傾げる。

「どうして? と言われても……」

「おい、新人に変なこと教え込むなって!」

ジェミロがカウンターの中から、慌てて男に食ってかかる。
心なしか、ほんのりと頬が紅く染まっている。
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