ベル姫様と溺愛ナイト様
「こないだのお前と同じだよ」

「……はぁ?」

「好きな女に会いに来てんだよ。
呑めない酒呑んで、働く女の姿を眺めてる」

男がそう言ってがはは、と笑った瞬間、ジェミロはさっきよりも赤くなり、レイは険しい表情に変わった。

「……それって……!」

ベルは確かに可愛い。
昔から可愛かったけど、再会して再確認した。
ベル目当ての客がいたとしても、不思議ではない。

しかし、将来の妻であり国の女王になるべきベルが、男に狙われるなんて許せない。
やっぱりどうにかこの仕事、辞めさせられないだろうか。

ますます険しくなるレイの表情に、男は吹き出した。

「がははっ! 坊主、勘違いしてるぞ!
違う違う。
あいつは、ジェミロに会いに来てんだよ」

「なんだ。じゃあ、いいや」

< 119 / 260 >

この作品をシェア

pagetop