ベル姫様と溺愛ナイト様
レイもメロゥもわたしのために、新たな土地で頑張ってくれている。
ベルは姉と二人の今までと変わってしまったけれど楽しい生活を思い馳せて、くすりと笑った。

「あ、もうお昼の時間が近いわね。
色々思い出してる場合じゃなかった!
メロゥお腹空かせてるかな?」

のんびりとした歩調を少し早めて、ベルはこの町の中心にそびえ立つ城の前に立つ。
こちらを見つめる門番に話し掛ける。

「すみません、傭兵のメロゥに用事がありまして、お尋ねしたのですが……」

「メロゥですか……?」

いつも急な用事でメロゥを尋ねてくるのは紫髪の男だったはずだが……?
門番は向かいに立っていた仲間の門番を呼んで、こそこそと話しだした。

「メロゥの女か……?」

「知らない……。
が、すっごい可愛いな……」

ごくりと固唾を飲んで、二人は頷きあった。

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