ベル姫様と溺愛ナイト様
「うるさいっての。
今日は週末で、お客の入りがいいんだよっ!
それに、お前がいきなり来たからって休業なんてするかっての!」

こちとら商売人だ!
ジェミロが真顔ですっぱりと言い放った。

「では、金を払う。
姫をこれで自由にしてくれ」

背負った布袋から、青年は10枚ほどの金貨を取り出した。

「これで、足りるだろう?」

普通に暮らしていれば、一生仕事をせずにいられるほどの金額だ。
何でもないようにふと出された大金に、姉妹は目を丸くして、それから一瞬固まった。

「やめてよ、嫌な人!
わたしはおねぇと一緒にいたいのっ!
これからお仕事があるんだからっ!
邪魔しないでっ!」

驚いて固まった状態から、ハッと顔を上げたベルは、彼を怒鳴りつけた。
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