ベル姫様と溺愛ナイト様
「わ、わたしにそんなことが……?
まだ綺麗に記憶も思い出せてないのに?」

神秘の国の主であったと言う、先代の女王とナイトのことを、今でも思い出せてはいない。
自分の両親なのに。

自分は誰かに連れされたらしいけど、記憶は曖昧で、灰色で、途切れていた記憶が鮮明になって笑顔を思い出せたのは、ジェミロと一緒にいてからだ。

そんな自分が力を開放とか……。
ベルは何やら怖くなってしまって、両腕を抱きしめて身震いをした。

「なるほど……」

すっかり原稿を書く手を止めて、話しに聞き入っていたシュシュが顎に手を当てて頷いた。

「それは早急に王国を復興するべきですね」

「お、おい! シュシュ!」

「ジェミロは、ベルちゃんが消滅しても良いのですか?
大きな力がベルちゃんの中で爆発して、彼女が消えてしまっても……」
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