ベル姫様と溺愛ナイト様
「良いわけないだろ!」

ダンっと大きな音を立てて、ジェミロがカウンターに拳を打ち付けた。その場がしん、と静まり返った。

拳をカウンターに打ち付け、顔を上げないまま、ジェミロは呟いた。

「納得はしたけど……。
だけど、だけど……!
今までずっと一緒だったのに、国の復興ってよ、力の開放ってよ……。
明日から、離れ離れになるんだろ?

わかってるよ、ベルの命が最優先だ。
ただ……。頭がついていけないだけだ」

静まり返った店内で、メロゥが口を開いた。

「ベルちゃんは、爆弾を抱えていると言うか、風船がパンパンで割れかけているの状態と言うか……。
それらを上手く逃がしてやらないと、大変なんだよ。
わかってくれよな、ジェミロ」
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