ベル姫様と溺愛ナイト様
「ジェミロ、僕はいますから。
一人じゃありませんよ」

シュシュが励ましたところで、ジェミロは寂しそうだった。

そのとき、一口ピンクのカクテルを呑んで、きょとんとベルが首を傾げた。

「え？　明日、力を解放しに、って話は聞いたけど、力を開放して帰ってきちゃ、ダメなの？
行ったら戻って来れないの？
わたし、戻ってこれると思ってて……」

口元に手を当てて、眉を八の字に歪めている。

「ベル、ベルは明日、力を開放して、その神秘の力で湖の上に城を建てるんだ。
その城とベルの力が結びついて安定するまで、暫く城から離れられない。
わかるか？」

「え？　ええ？　聞いてない……」

ベルは、歩いていける森と湖で力を開放さえすれば、変な現象を起こして周囲を困らせることもなく、帰って来れると思っていた。
拠点は今まで通り姉のこの店で、一緒に住んで、力が爆発しそうになれば発散すれば良い、と考えていたのだ。
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