ベル姫様と溺愛ナイト様
「ベル、まずは城の復興だ」
「ベル、馬車を使おうか?」

「ベルちゃん、歩いて行けるっちゃ行けるけど、ちょっと遠いよ?」

レイとメロゥが気遣わしげにベルに話しかける。
ベルは笑って返事をした。

「大丈夫だよ! 歩こう?
今朝起きたとき、良い天気だから散歩したいなって思ったの」

ほら、紅葉が素敵、と笑顔を振りまくベルが、無理をしているようで痛々しい。
いや、しているよう、ではなく、実際に無理をしているのだ。

姉との、町との別れを惜しむように、風景を目に焼き付けるように。町をのんびり歩くベルの気持ちを、レイもメロゥも汲むことにした。

「なら、いいんだけど。
疲れたらすぐ言うんだよ?」

「ありがとう、そうするね」

そうは言っても、言わないだろう。
メロゥは肩をすくませた。
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