ベル姫様と溺愛ナイト様
「大丈夫だから。ベル」

「そうそう、ベルちゃんならできるよ」

同行している2人は呑気な事を言う。

ベルがまだ不安そうに前を見ながら歩いていると、隣のレイがぎゅっと手を握ってきた。
はっと隣を見るも、彼は前を見据えていた。

2人の前を歩くメロゥは、一瞬こちらを振り向いて、それからまた前を向いた。

この二人と一緒なら、大丈夫、だよね……。

ベルは自分に言い聞かせながらレイと手を繋いで歩いて、ようやく森の中の湖へとたどり着いた。

「素敵ね……」

澄んだ湖。青々とした緑。
それに晴れ渡った空。

空気がおいしいわ、と彼女はにこりと笑う。

「気に入ってくれたみたいで良かった。今からベルの場所だよ」

「え?」

さも当たり前のように言われても。

ベルはきょとんと、目の前の大きな湖とレイを交互に見つめた。
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