ベル姫様と溺愛ナイト様
「大丈夫だよ、ベル。2人とも怒ってないし、ベルの無事を喜んでいるよ」

「そうだよベルちゃん、お2人はベルちゃんをずっと心配していたからね。
記憶もいずれ戻るだろうし、元気でいるだけで喜んでくれてるよ」

今にも泣き出しそうな彼女を慰める。

「う、うん、ありがとう……。いずれ、思い出せる、よね?」

ベルは俯きかけていた顔を上げ、暫く目の前の肖像画に描かれている両親を見つめ続けた。

男2人はそんなベルを静かに見守っている。

どのくらい鑑賞していただあろうか、

ふと、ベルが振り返った。

「2人とも、ありがとう。もう大丈夫。
別のところ、どこが変わったか見に行こうよ」

ベルの言葉に2人は頷き、2度目の散策が始まった。
さっきまで曖昧でちぐはぐだった室内の様子や細かな装飾、それに設備などが、すっきりと整っていた。
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