ベル姫様と溺愛ナイト様
「え? なんで? 一人で三人分の当分の食料とか日用品とか、かさばるし重いでしょ? 手伝わないと……」

ベルはレイの腕を抜け出し、メロゥの後ろを追いかけたいようだ。
ぐっと抱きしめるレイの腕に、ベルの体重がかかった。
とはいっても軽いベルの体重がかかったところで、鍛えているレイにはなんてことはないのだが。

暫くレイの腕の中でもがいていたベルが疲れて大人しくなったころで、メロゥはすでに見えなくなっていた。

「どうして、ダメなの?」

疲れきっていてしかも悲しそうな愛する彼女の言葉に、レイは胸が痛くなる。

「ベル、前も言ったと思うけど、力が安定するまで、城にいないといけないんだ。
また、不安定になる。折角作った城が崩れるかも知れないし、ベルの力も暴走するかも知れないから……」
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