ベル姫様と溺愛ナイト様
「ベルちゃん、今日は疲れたろう? 早めに休むと良いよ。
ここは俺がやっとくから」

食器を下げながらメロゥが言う。
食器も当時のまま、ベルの力で再現されていた。

「う、うん、そうだね。ありがとう、そうさせてもらおうかな」

確かに疲れていた。力を一気に使いすぎたのかも知れない。
ベルは返事をしながら、どこで休めば良いのか考えた。

城内を散策したときに、自分の部屋を見つけた。

可愛らしいピンクの壁紙に、小さな子供用ベッド。
ご丁寧に天蓋もフリルもついていて、かなりの少女趣味だった。
やはりピンクの棚に収められた大量の絵本に、クローゼットには小さなドレスが何着も収められていた。

残念ながら今のベルの趣味でもないし、落ち着かない。

そもそもあの小さなベッドには体が収まらない。あの部屋は時がとまったままだ。
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