ベル姫様と溺愛ナイト様
「だから言ったろう、姫の、ナイトだ」

当然だ、とばかりに、青年は言葉を返す。

「ほう。
で、ナイトさんよ?
まぁ、まだベルがその国の姫だとは信じられないが、仮に姫だったとして、だ。
お前はその時、何をしていたんだ?
ナイトなんだろう?
どうして姫を守れなかったんだ」

ぐっと、青年は顔を歪ませた。
悔しそうに下をむき、拳をももの上で固く握る。

「……手を、振った……」

「はぁ?」

ジェミロが、素っ頓狂な声を上げる。

「手ぇ振ったぁ?!!
なんだそりゃあぁ!」

「……まぁ聞け。
本当に情けない話だが……」

青年はジェミロを窘め、話しを続ける。
ベルではなく、ジェミロを見て。

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