ベル姫様と溺愛ナイト様

レイの言葉に、ジェミロはため息をついた。

「そんなこたぁ、あたしもベルも知らねぇよ。
あたしは、ベルと出会った５年前から姉貴分として一緒に生活を共にしているが、それ以上前のことは、分からない」

彼女は両手のひらを上に向け、肩をすくめる。

「それで、姫の姉を名乗るジェミロ、お前は一体何なんだ？」

出会った当初よりは大分ほぐれたが、まだまだ残る敵対心でジェミロを睨むレイ。
ベルが、おねぇを睨まないで、と、小さく注意した。

「あたしは、ただの孤児だ。
物心ががついたときには、孤児院にいた。
辛そうにしていたベルを連れて孤児院を出て、商売をしてどうにかベルと二人、食いつないでいるだけさ」