ベル姫様と溺愛ナイト様
ベルにとって、慣れ親しんだこの町での生活と、両親の国の復興のどちらかを今すぐ選ぶなんて、到底出来ないことだ。
それはそうだ。
今日起こった出来事一つで、今までの生活をあっさり捨てることができるわけがない。

姉も、店も、レイも、両親も、国も。
全て大事だとは思う……。
大事だけれど、いきなり全てを変えるなんて、不可能だ。

気持ちが着いていかない。
今まで通り過ごさせてほしい。
そして、考えさせてほしい。
ベルがそう思うのは至極最もだ。

「そりゃあ、突然現れて突然そんなこと言われて、はいそうですか、とはならねぇだろ。
この先どうなるかはわからないけどよ、普段の生活に身を置かせて、落ち着かせてくれよ。レイ」

あたしもベルも混乱気味だ、お前突っ走りすぎ。
ジェミロは苦笑いを浮かべている。
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