ベル姫様と溺愛ナイト様
ほう、ここは元は宿屋だったのか。
レイは店内を見渡す。
確かに言われて見れば、手を加えてはあるものの、一般的な宿屋の食事スペースと似ているかもしれない。

「お前、シングルの部屋で良いか?

それとも広い方が良いならツイン使っても良いけど。
ツインの部屋ならベッドふたつくっつけて使えるしな。
あたしやベルはシングルで充分だけど、お前男だし。シングルじゃあ狭くないか?

空いてんだから、遠慮しなくて良いぜ?」

「あ……そうだ……」

「おい、返事になってねぇぞ?」

ジェミロは噛み合わない会話に、こいつもさては眠いのか?
なんてのんきなことを考えていた。
隣のベルは眠たそうに目をこすり、あくびを噛み殺している。
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