ベル姫様と溺愛ナイト様
確かに、子供の頃は……。
一緒に昼寝をしたり、キスをしたり。
そんなこともあったけど。

もうお互い大人なんだ。

今、ベルが初めて呑んだカクテルで酔ってることはわかった。
レイとメロゥを前に、頭の片隅の思い出の扉が少し、開いたのだろう。
わかったけど、理解してるけど、なんという破壊力……!

探し求め、恋焦がれた姫の、極上の誘い。
女性らしく、柔らかく温かく、そして美しく育った愛しの姫。
レイは思わずギュッと、ベルを抱きしめた。

「ベル姫様……。俺のベル姫様が、戻ってきた……!
くっ……」

「レイ……?」

言葉につまるレイは、涙をこらえているようだった。
ベルは顔を上げて、突然黙りこんだレイの顔を覗き込む。
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