雨の日のシロ
千里
「…悪い」


「ううん…電話でなよ」


そう言うとセンリはわたしに背を向けて電話に出た。


「もしもし。お疲れ様です……はい、何かありましたか?……えっ?はい、はい…じゃあすぐに行きますから…いえ、わかりました。では」


電話をきるとセンリはわたしに困った顔を見せてきた。


「悪いサワ。仕事でトラブルあって今から戻らなきゃいけないんだ。話しはまた今度でいいか?」


「わたしは大丈夫。それよりトラブルなら早く行かなきゃ」


「悪い。またこの埋め合わせはするよ。必ず連絡する」


センリに告白は出来なかったのは残念だけど、センリが約束してくれたから心は穏やかだった。


走っていくセンリの背中を見てわたしはひとり家路へとついた。
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