雨の日のシロ
朝起きると、あのときのセンリの表情を思い出す。


センリがわたしを抱いた日、わたしは全てが終わったあと眠った振りをしていた。


センリはそっとわたしの髪を撫でて、そっと瞳を開けると今までに見たことがない程の優しい顔をしていた。


「じゃあな、沙和」


そうして、センリはわたしから離れてその場をあとにした。


あれから、何度かセンリに連絡は取っているけど音信普通のままで、2週間が経とうとしたある日、


知らない番号から電話が来た。


「…もしもし?」


『………』


呼びかけても返事がなく、間違い電話かと思って切ろうとした瞬間。
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