雨の日のシロ
『あのっ!』


可愛らしい少し緊張を含んだ女性の声が聞こえた。


『雨宮沙和さん、ですか?』


「そうですけど…どちら様ですか?」


『わたし、須崎香織と申します』


香織、その名前に聞き覚えがあって息を飲む。


「センリの、あっ、千里の…」


『はい。千里くんの従兄弟、とお伝えすればわかりますか?…あのっ、今日はお願いがありまして、千里くんに内緒で沙和さんに連絡しました』


わたしに、お願い?



『お願いしますっ!千里くんに、会いに行ってくださいっ!』


香織さんから全ての話を聞いて、わたしは急いで家を出た。


大通りに出てタクシーを拾って行き先を伝える。


向かう場所は羽田空港国際線ターミナル。
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