雨の日のシロ
最近仕事が忙しく、久々に会った香織の変化に俺は息を飲んだ。


元々細いヤツだったけれど更に細く、というかヤツれていて、気力が抜けたような印象だった。


「香織…一体何があったんだ?」


「……千里くん。直之くんが、浮気してた」


直之が浮気?


直之は香織の彼氏で、俺と同い年だから話も合って香織抜きでも二人で飲みに行くような、そんな親しい間柄のヤツだった。


香織と本当に仲が良くて、いずれ結婚するのではないかと密かに思っていた俺はその事実に衝撃が走った。


「直之から直接聞いたのか?」


「うん…相手の彼女から誘われて断れなくてって直之くんが泣きながら謝ってきたの…わたし、どうしたらいいんだろう?」


ポロポロと小さな身体を震わせながら涙を溢す香織に、浮気をした直之と直之をたぶらかした女に怒りが込み上げた。
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