雨の日のシロ
「なぁ、直之…」


「んあ?」


「おまえさ、浮気してたって本当か?」


直之は枝豆を持ったまま一瞬固まった。


「…香織から聞いた?」


「どうなんだよ!?」


「千里、声、大きい」


興奮して声が大きくなったけれど、そんなの気にしていられなかった。


そして直之は力なく頷いた。


そして聞かされたことは…


相手の女からモーションかけられて、挙句結婚してくれないと死ぬと騒いだ…


だから、落ち着かせるために婚約したフリをして香織と別れ、落ち着いたら香織と寄りを戻すはずだった…と。


「だけどやっぱり香織を裏切る訳にはいかないから、彼女とはここに来る前にきっぱり別れたよ」


「そういうことだったのか…疑って悪かったな。香織が心配してたから、連絡してやってくれ」


やっぱり直之は香織を裏切ってなかった。
< 56 / 58 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop