雨の日のシロ
「美味しかったー!店長、ご馳走さまです!」


「ご馳走さまです」


焼き肉店でたらふくご馳走になったわたしと都子ちゃんは店長にお礼をしながらお店を出た。


「食べた、食べた。沙和、都子。この後2件目飲みに行く?」


「行きます行きます!」


「オッケー。沙和は?どうする?」


元気良く手を挙げる都子ちゃんを横目に店長がそう聞いてきたとき、ポツリと小さな雨が降り始めた。


「あっ…わたしは、今日はここで…」


「そっか。じゃあまた明日ね」


「雨宮さん、また明日ー!」


「本降りになる前に帰りなよ。ほら、都子。うちらも早く行くよ」


再度ネオン煌めく夜の街に消えたふたりを背にわたしは家路を急いだ。


雨が降ってきたから、またセンリがふらりと来るかもしれないと思って。
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