アンティークドール
「あ…開始時間だ」
俺は時計に目をやって、針がちょうど一周し終わった事に気付く
「じゃあ、宣伝がんばりましょうね」
「やるか」
俺はパンっとほっぺたをたたいて、気合いを入れ直した
「あ…あれ」
雪姫さんが指をさす
「あ…父さん……」
雪姫さんが指差す方向には、スーツ姿の父さんが歩いていた
「父さん…来てくれたんだ」
「だって満の文化祭だろう?来ないはずないじゃないか」
「だって母さんの事もあったし…」
「母さんだって、自分のせいで満に悲しい思いをさせるのは望んでないはずだ」
「…うん、ありがとう」
ありがとう父さん
本当は、母さんの事でこんな文化祭なんて行く気力もないはずなのに…
本当にありがとう