アンティークドール



俺は机の上に俯せてうーんと体を伸ばした



そして大きくあくびをする


「ほな、帰ろうか」


斑がニヤッと笑う



「あー…あたしはもうちょっといるよ…、先生に呼ばれるから」



「俺もまだ宿題が終わってなくて残されちゃって…!!」



星麗那とユージは残るらしい


俺たちは先に帰る事にした


俺たちは廊下をコツコツ歩く


廊下にはガラス張りになったケースに絵が入って立て掛けられていた



窓から見える空は曇って、俺の心を表しているようだった



音楽室はシーンとしており、鍵は無造作に開けられていた


ふと、斑は思い出して振り返る


「やべっ教室に忘れ物したわ、俺取って来るから自分先に行っといてくんない?」



「あぁいいよ」


あの時ついて行けば良かったんだ


そうすればこんな事なんて…―‐





―オコラナカッタハズナノニ―


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