アンティークドール



「………!!」


何を言おうとしても、声がでない


ちくしょう…


少しの間、不自由になるな…



俺は自分の勉強机の引き出しをガサガサとあさった


引き出しから出てきたのはまっさらなノートと赤色のペン


言えないのだったら、紙にかけばいい


めちゃくちゃ面倒臭そうだけどな


アンティークドールが落とした一粒のチョコレートが床にある


それはもう、夜空に浮かぶ月の怪しい輝きでとけていた




‐―刹那―‐甘い香り


甘い、甘い香り


アンティークドールとは異なるチョコレートの甘い匂い


だけどそれは


舌にあたると性格が変わってしまうかのように…苦くなる



アンティークドールのように





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