アンティークドール
家族・距離
~二日後~
声はもとにもどったが、あれからなにもわからなかった
声を使わず、紙に書いていくのは苦難な日々だった
ようやくそれから解放されて、たった今、声があることに喜びを感じている
今日は土曜日だった
いつの間にか時はどんどんとすぎ、かれこれもう一週間後に近くなっている
コンコン…
部屋に響くノック音
静まり返った部屋にハッキリと自分を主張するような響き
「……なに?入っていいよ」
いつもは家族はノックなんてしなかった
それだけ恐れられているのか?
これはたまたまな二人の【死】なのに
いや、たまたまじゃないか
アンティークドールが計った、二人の死だ