アンティークドール
『いらっしゃい、満君』
「……」
アンティークドールは初めて会った時の格好で、レジに立っていた
やはり綺麗だ
『家族割れ…かしら?』
クスクスとアンティークドールが笑う
俺はどんなことをしても、このアンティークドールの不気味な笑いには勝てないだろう
「悪いかよ?」
『いいえ…悪くはないわよ、満君』
こんな奴に名前を呼ばれるだけでもへどがでる
この2人の死、俺を巻込んだこの運命も
アンティークドールが存在しなければ、なかったはずなのに
今さら…恨んでも遅いよな
あぁ…前の仲がいい家族に戻りてぇよ…
そして…平凡に暮らしたいよ…