アンティークドール



『…とにかく、あなたは完成品なんだから自信を持ちなさい』


「……あぁ」



2人の間を風がすり抜けて行く


誰かが決めたわけではない


風が勝手にすり抜けていくのだ


自由



風には運命ってものはないんだな…


少しばかりうらやましくなる


だけど…その辛い運命を乗り越えて、ようやく幸せが現れるんだよな



バタンッ…!!


アンティークドールの店の扉が勢いよく開いた


「満…!!」


「母さん!?」



するとビュッと母さんの手が空をきる


パチンッ…!


鈍い痛みが頬に走る



「バカッ…探したんだから」


初めて母さんに叩かれた



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