アンティークドール
『さて、今度の子はどんな暗い過去を作るのかしら…?』
黒猫が膝の上で鳴く
まるで一緒にあざ笑うかのように
ただ…ただ、甘い匂いが漂うばかりで…
「ねぇっねぇってば!」
「え?……あ、あぁ」
「本当!さっきから様子が変だよ!」
「ごめん…大丈夫だよ?」
「無理して笑ってる!」
「へ?」
「あたしは満に笑って欲しいから連れてきたのに満…笑ってない…」
「あ…」
「だから笑ってよ!満が笑うと私も自然に笑えるんだから」
真千がニコッと笑った
真千の言葉は魔法みたいだ
今までの恐怖を吹っ飛ばすぐらい、強く、優しい声
だから俺は彼女を好きになったんだ
俺は「うん」と精一杯の笑顔で真千に笑いかけた