完璧生徒会長様の憂鬱。
side佐伯
お気に入りからその想いは初めて愛おしいという想いに変わっていた。
だからそう自覚した時からいつか会長に捨てられるならと自分から会長を捨ててやろうと思ったのに。
気持ちが薄れるだろうと距離を置いた。
嫌われようとこれみよがしに会長が嫌がりそうなことをとことんやった。
ねぇ、それでも会長は俺を解放してくれないんだね。
「俺は知ってるんだよ。人の想いの移ろいやすさを。永遠なんてないことを」
自分でも驚くほど弱々しい声が会長に縋るように言葉を紡ぐ。
永遠の愛を誓ったはずだった両親の離婚、寂しさ故に幼い頃からどうすれば人から愛されるか知り、周りの人間の全ての感情を支配してきた。
偽りの愛しか知らないんだ。
愛し方も愛され方も本当はわからないんだ。