完璧生徒会長様の憂鬱。
さすがにキスを許すわけにはいかない。
品性良好な完璧生徒会長様であることが売りな私だったが、やむを得ず、キスを阻止するために佐伯を殴ろうと右腕を思いっきり突き出す。
突き出したのだが。
シュンッ
その拳は空を切っていた。
「あんまりうちの由乃を困らせないでくれるかな?佐伯くん?」
「しゅ、秀……」
私の体を秀が後ろから抱きしめる。
秀に体を後ろに引かれたことによって私と佐伯の間に距離ができ、私のパンチが佐伯に当たらなかったのだ。
だからもちろん、キスもされていない。