QUEEN of the JOKER

正体

翌日、あたしは朝早く起きて弁当を作り、ついでに朝食も取って身なりを整えていた。


「ふ、あぁ…瑞希、早いわね」


欠伸をしながら登場したのはあたしの母の東城恵里子(トウジョウ エリコ)。


「おはよう、母さん。ご飯作ったから食べてね」


「あぁ、ありがと…?アンタ、また喧嘩したの?」


母さんはあたしの手の甲に指を指して言った。気が付かなかったけど人を殴った跡…赤い跡があった。


母さんも元暴走族の総長だったらしく、喧嘩なんて見慣れてる。傷の出来方なんて尚更だ。


「私的にやったわけじゃないから。そういう母さんもまた喧嘩してないよね?」


「やってないわよ。あー、でもムカつく上司はいるかな。危うく殴りかかりそうに…」


「トラックの運転に集中してね」


母さんはトラック運転手と言う仕事柄か、いつも夜は遅く、こうして話せる時間も少ない。


「仕事まで時間あるんでしょ?休んでなよ」


「そうね~、そうするわ。ご飯食べてからね」


見た目は怖いと言われている母さんだが、本当は優しくて、卑怯は許さない強い母さん。


「それじゃあ、行ってきます」


「あー、ちょっと待って」


「なーに?」


「玄関まで見送るわよ。転校初日はできなかったから」


「別にいいのに」


「あたしがしたいの」


母さんにはいつも負けるな。


こうして甘えちゃうんだし。


「行ってらっしゃい」


「行ってきます」


そしてあたしは通学路を歩く。
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