QUEEN of the JOKER
「ひっ…」


女共は我先にと逃げていった。


まぁ、これであたしの平凡は取り戻せるだろう。…あの女共が口を開かなければ。


パチ、パチ、パチ…


後ろから拍手の音がした。それは完全にあたしに向けられていた。


ゆっくり振り返ると倒れた男の背中に座って頬杖をついた人。


「…あなたは」


「昨日会ったよね?見ていたよ、君って強いんだね」


…昨日、玄関の入り口を教えてくれた青ネクタイのお兄さん。


…全く、気配を感じなかった。


すると気絶していた男の1人が目を覚ましたのか


「…そ、蒼夜…さん」


掠れ掠れに言った。


蒼夜…?どこかで、聞いたことのある名前。


「一人の女の子を私情で襲いかかるなんて卑怯じゃないかな?そんな奴らが『剣龍』の傘下にいると迷惑なんだけど」


ニコニコと口元は笑っているが目が笑っていないのがあたしにも分かった。


多分、この人…強い。


勝てるかは五分五分と言ったところか。


相手にすれば面倒くさそうだ。


「自己紹介がまだだったね。

俺は橘 蒼夜(タチバナ ソウヤ)。君も聞いたことはあるでしょ?」


橘…蒼夜!?


間違いない、こいつは…


「…スペードのジャック…別名『騎士の剣』の橘 蒼夜…」


そして







「────・・・『剣龍』の副総長」
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