QUEEN of the JOKER
「夏也、そろそろ着くから降ろしてあげて。











…………夏也、どうしたの?その引っ掻き傷」


「…メス猫にやられた」


橘蒼夜が「降ろして」という前にあたしは既に降りていた。


…何故かって?ふん、知るか。


「…で、あたしをここに連れて来てどうしたいわけ?」


目の前にある今はもう使われていないであろう大きな倉庫。


…バイクがたくさん並んでて、いかにも族が溜まっていそうな場所。







「ようこそ、僕ら剣龍の本部へ」







新崎蓮があたしをエスコートしようとする。


その手はあえて取らず、総長の黒坂大和に着いていくことにした。


…すると、


「みんな!おかえりー!」


…倉庫の入口から出てきた女の子。


その子は彼等の帰還に気付くと走って寄ってくる。


髪をクルクルと巻いて、化粧も少々してあり、長い睫毛、リップの塗られた唇。


その子はあたしに目をやり、そして







「瑞希ー!!」







あたしに抱き着いた。


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