QUEEN of the JOKER
…どうやら、考えている暇はなさそうだ。


「次は俺のターンだね」


橘はニコッと笑うと


「───・・・っ!?」


力強い一歩を踏み出して、あたしに殴りかかる。


…ただ、殴るだけなら抑えられると思った。


「…っ(速いっ)…」


間一髪、避けれた。


一瞬、何があったのか分からなかった。…ただ橘が速かった、それだけだ。


その速さが尋常じゃない。


「…俺の拳、初見で避けた人は君で2人目かな」


…速くて、力強くて、鋭い。


「流石、『騎士の剣』と呼ばれる事はあるな」


「俺、蒼夜のあれ避けられないんだよね」


「僕も未だに攻略できないよ」


杉宮、和田、新崎による解説…。


たしかに、剣のように相手の急所を狙い付けるその拳。


「2人目ね。…1人目は?」


「…さぁね」


橘はまたあの拳であたしを襲ってくる。


しかも連続で殴って来るからあの速さを避けるのに精一杯だ。


「避けてばかりじゃ…ね!」


「───っ!!」


完全に油断してた。


橘は拳でしか攻撃して来なかったから


足で攻撃された時の体制を、忘れていた。

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