QUEEN of the JOKER
放課後の教室と言うのはなかなか寂しいものだな。


ふと、教室に入った途端そう思った。


放課後となればそそくさと帰りたいのに、なぜか今は溜め息しか出ない。


帰りたい…帰りたいのに、帰れない。


さっき、黒坂に忠告はしてもらったがあたしが次狙われる可能性も低くない。


もしかしたら、敵が特徴をとっくに掴んでるかもしれない。この学校、青道でちゃんと制服を来ているのはあたしくらいだ。目立つに決まってる。


「…あたし、高校選ぶところ間違えたかな」


たかが不良高校、されど不良高校。


この微妙な時期に転校するとしても選ぶのにかなり苦難だった。たまたま母さんの知り合いがここの校長だったからで、あたしは流れでここに入っただけ。


…1回、起きてしまったものは仕方がない。


あたしはもう1度溜め息を吐くと鞄を持つ。


「…よし。走ろ」


「お前、強いんだから喧嘩すりゃあいいじゃねぇか」


「…は?」


窓の方から声がすると思って振り返れば、そこには…


「…す、杉宮…」


「言っておくけど俺の方が先にいたからな。ここベランダだし、見えねぇのも無理はねぇが」


杉宮は「よっと」と言うと窓を飛び越え、教室に入ってきた。
< 87 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop