白い雪が降り積もるように
「篠田君、俺達も行くよ」
蓬條依良は紗也様の手を引きながら歩き出す。
彼は頭首の座を欲していない。
寧ろ、いらないと思っているように見え、彼自身放棄を望む理由を抱えているようだった。
それに、蓬條良威という予想外な異分子。
蓬條家に復讐するには彼を手駒に使うのも手なのかもしれない。
「さて、どうするかな……」
そう思案しながら既に歩き出している兄妹の後を追いかけた。
玖下さんが獲物を見るような目で私を見ているとも知らずに──。