白い雪が降り積もるように
「……帰ります。くれぐれもこの事は他言無用で」
そう告げると、日下さんは「分かってるよ」と親指をぐっと立ててきた。
……すっごい不安。
話してしまったことを後悔するほど日下さんの行動はあっけからんとしている。
そんな彼をもう一度一瞥するとその座席を後にする。
──が。
「小娘ごときで蓬條が潰れると思えないが、一泡は吹かせられそうか……あの女に……」
日下さんの呟きが聞こえた気がして振り返ると、彼は何事も無かったように私に手を振っていた。
……気のせい?
疑問に感じながらもファミレスを後にする。
「耳が良い小娘だ」
日下さんがそう憎たらしそうに言っているとは知らずに──。