白い雪が降り積もるように
「もしかして、この家の使用人さん?」
私の言葉に答えてくれたのは女の人の方で、声までも凛としていて綺麗だった。
「はい、そうですけど……」
「ちょうど良かった。依良の所まで案内してもらっても良い?何回来てもたどり着けなくてさ」
「アリスは方向音痴だからね」
「うるさい、朱鷺(トキ)」
アリスと呼ばれた女の人は朱鷺と呼んだ男の人を蹴った。
親しそうな二人は恋人同士なのだろうか?
それに、蓬條依良を名前呼びするということは彼の友人だろうか?
そんな疑問を抱きながら二人を蓬條依良の元へ案内した。
私服だが、そんなに派手じゃないから主の前に行っても大丈夫だろう。