白い雪が降り積もるように
「おい、ちゃんと前見ないとぶつかるぞ」
「え──痛!」
誰かに注意された直後に顔面を壁にぶつけた。
鼻が痛い……。
鼻血?出てない。
「だから、言ったろ。前見ろって」
「ぶつける前に言って貰えますか、良威様」
鼻を押さえながら振り向いた先には昨日から自由の身になった蓬條良威が立っていた。
呆れているのか、それとも笑いを堪えているのか彼の顔はひきつっている。
あ、もしかしたら、この人ならあの二人のこと知ってるかな?
「良威様、アリスと朱鷺という方々をご存じですか?」
鼻から手を離して彼にそう問えば、彼は怪訝そうに眉をひそめた。