白い雪が降り積もるように
≪依良side≫



「……来るときは連絡入れてっていつも言ってるよね?」




キロリと睨み付ければ、アリスはカラカラと俺を馬鹿にしたように笑った。




……コイツ、相変わらず俺を馬鹿にしてるな。




「それに、何故あの子と一緒に来てるの?彼が──」




「≪彼≫は≪彼≫じゃないよ」




そう遮るように告げたアリスは笑っていたはずなのに、真剣な顔をしていた。




≪彼≫は≪彼≫じゃない?




意味が分からない。




「何言ってるの?」




「言葉の通りだよ、依良。≪彼≫は≪彼≫じゃない、≪彼女≫だったんだよ」




アリスは俺に調査報告書を手渡してきた。




一週間前に頼んだ篠田君の近辺調査の結果だ。




コイツは俺で遊ぶ馬鹿に見えるが、IQがとてつもなく高い天才で道楽がてら探偵をしている。




道楽なのに、調べたり解決するのはそれを生業にしている探偵よりも優れていた。






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