白い雪が降り積もるように
でも、もしも俺が≪また≫死に直面する時があるなら俺はそれを受け入れる。
生きていれば、必然的に死ぬときが来る。
それが早いか遅いかだけだ。
「……依良、お前は何でそんなに生き急ぐの?あの事件が原因?」
「生き急いでないよ。ただ──」
調査報告書をローテーブルに置くと、そのままカウチの背もたれに寄りかかり天井を仰いだ。
そして、何かを掴むわけでもなく天井の方に手を伸ばして、握った。
「ただ、生きることに執着が無いだけだ……」
俺は別に生きていたいわけではない。
身体が勝手に心臓を動かして、呼吸をさせているから生きているだけに過ぎない。
自分でこの身体を終わらせるのも馬鹿らしい。
だったら、この命で憂いを晴らせるなら晴らせば良い。
篠田君……、いや、篠原冬雪ちゃん。
もしも、君が俺を殺そうとするなら俺は抵抗しないよ。
それで、君や家族が浮かばれるなら俺は死んでも構わないよ……。
≪依良side end≫