白い雪が降り積もるように
「ん……」
すると、蓬條依良は眉をピクリと動かして、小さく呻いた。
起きたかと思ったが、その長い睫が伏せた瞳は閉じられたままだ。
でも、嫌な夢でも見ているのか少し魘され、何か言っていた。
「───」
何か言っているようだけど語尾らしく、上手く聞き取れない。
耳を凝らして、よく聞いてみる。
「──て────な」
やはり、最初は上手く聞き取れない。
聞き取るのを諦めようとした、その時──。
「一人にしないでくれ……。俺を裏切るな……」
彼の言葉がはっきりと紡がれた。
そして、閉じられたままの瞳の端から一筋の滴が零れる。