白い雪が降り積もるように
泣くことを知らないような蓬條依良が寝ているとはいえ、泣いている。
その言葉を発した声は消えてしまいそうなくらい弱くて、悲しそうだった。
まるで、何かにすがっているような感じだった。
何故、泣いている?
「何をなさるつもりですか?」
ふと、手首を掴まれた。
手首を掴む手の先には玖下さんがいて、殺気を帯びた眼差しで私を見ていた。
でも、それよりも驚いたのは私が自ら蓬條依良に触れようとしていたこと。
殺意も不思議と感じず、何故か無意識に彼に触れようとしていた。
「何もしません。ただ、何故泣いているのかと思って……」
私に殺意が無いことが分かると玖下さんは手首を離し、蓬條依良の方を見た。