白い雪が降り積もるように
「……もし、依良の過去の話をしたら貴女は依良に殺意を向けるのを止めてくれますか?」
「過去?」
「依良の過去には貴女も関係して──」
「玖下、それ以上は言うな」
玖下さんの声に、蓬條依良の低い声が重なる。
蓬條依良が寝ていた椅子の方を見れば、彼は目を覚ましていて、玖下さんを睨み付けていた。
その目には怒りが映っている。
「……玖下、誰に許可を得て話そうとしている?」
「失言でした。申し訳ございません」
深々と頭を下げる玖下さんをもう一睨みすると、蓬條依良は椅子から立ち上がって私の方を見た。
その目はやはり、怒っている。
「……君も起きたなら自分の部屋に戻りなよ。玖下、一緒に行ってやって」
そう言い残し、部屋から出て行ってしまった。