白い雪が降り積もるように
「君が新しく入る子?」
冷悧な目で見つめてくる美し過ぎる女……。
この女こそが私が憎むべき相手で39歳にして蓬條家の全てを治める女頭首──、蓬條紗良(ホウジョウ サラ)。
その人だった。
私はこの女に復讐するため、ありとあらゆるコネを使って使用人として蓬條家に入ることに成功した。
お父さんが残した借金は家と土地、保険金で少しは返せたものの有り得ない桁数の借金が残っている。
せめて、高校は卒業したかったけど両親は二人とも施設育ちだから縁者はなく、頼れる人がいなかった。
お姉ちゃんや秋葉もこれからお金がかかるだろうし、私が高校を辞めて働くのが一番の得策だと考えた。
しかも、蓬條の使用人の給料は中卒でもかなり良いからお姉ちゃんの延命費も秋葉のリハビリ費も返済も何とかなりそうだ。
住み込みだし、衣食住の心配もない。
憎い相手に奉仕してお金を稼ぐのは屈辱でしか無いけど、こうするしか生きる術はない。