白い雪が降り積もるように
「高校の友達ですぅー。あの、今暇ですか?よかったら、お茶でも──」
「友達……ねぇ……」
蓬條依良の声音が低くなったかと思うと、ベレー帽をぐいっと上から押された。
前が見えなくなって驚いたけど、彼に手を掴まれて更に驚く。
そして、彼は耳元で
「あまり強く握ると手のひらが切れるよ……」
吐息がかかる距離でそう囁いた。
手のひらが切れる?
掴まれていない方の手を見ると手のひらが切れかかっていた。
「君さ、この子の友達なんでしょ?なら、俺よりこの子を見てくれる?それに、本当に友達と会ったのならこんな顔しないよ」
彼にそう言われるくらいだから、私は余程酷い顔をしているのだろう。
その女子にそう告げると、蓬條依良は私の手を引いて歩き出す。